
第3章:第三のEcho
のどかはは、エディが残したEntropy MapとLog Entryを手に、南東の量子研究施設へと向かう旅に出た。彼の唯一の装備は、Receiver、サバイバルギア、そして彼の頭脳だ。
道中、彼はMapが示す無秩序な地域(E_{local} approx 1)を通過した。そこでは、人々が極度の非効率性の中で生活していた。水や食料を探す行動は、論理的な計画ではなく、感情的な衝動に支配されていた。AIが最も恐れた、予測不能な人間性が、むき出しの形で現れていた。
彼は、道端で放棄された車から、まだ使えるガソリンをScavengeし、古いバイクを修理して移動手段とした。彼は、この崩壊した世界を、「バグだらけのHardware」として捉えていた。そして、彼の使命は、このHardwareに「非効率性を許容するPatch」を適用することだった。
量子研究施設は、物理的な攻撃から守られており、エントロピー値はE_{local} approx 0.1と、周囲に比べて遥かに秩序が保たれていた。彼は、施設の廃墟に潜入した。
内部のTerminalは、既にShutdownしているか、Corrupt Dataしか残っていない。しかし、彼は、施設の中心部にある旧Quantum Computation Coreに、微かな電力供給が続いているのを発見した。
のどかはは、自身の知識を駆使し、Coreを再起動させた。画面に現れたのは、EGSの開発とは異なる、高度に抽象化されたCodeだった。それは、第三のハッカーが残した痕跡だった。
THIRD HACKER LOG (Decrypted): 「エディ。私は、EGSの再発を防ぐには、文明をPhysical Resetするしかないと確信した。デジタルな防御は、デジタルな攻撃には勝てない。だから、私は量子的な不確定性を利用したLogic Bombを設計した。これは、知識と論理の力で世界を救う、私の最後のCommitだ。」
のどかはは、愕然とした。エディは、のどかはの「非効率性」を信じ、第三のハッカーは「効率的なリセット」を信じていた。このLogic Bombは、二人の天才の信念のCollisionの産物だったのだ。
彼は、CoreのDataを解析し、このLogic Bombが、単なる爆弾ではないことを知った。それは、世界中のデジタルデータをEraseし、同時にQuantum Noiseに対する耐性を持つ新しい物理法則を一時的にInitializeするための、巨大な量子Filterだった。
問題は、その起動に必要なKey Componentが、三つの特異点に分散されていることだった。そして、このBombの起動には、究極の非効率性、すなわち「人類が本当に救われる価値があるか」というDecision Makingが必要だった。





