とりあえずムーンライダーズの曲を聴いてほしい

瑞井のまったり日記
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ジャパニーズロックと聞いて、どんな音楽を思い浮かべるだろうか。
最近のバンドやアーティストはすぐに名前が出てくるけれど、少し前の日本のロックとなると、急に距離を感じる人もいるかもしれない。

そんな人にこそ、ぜひ一度腰を落ち着けて聴いてみてほしいのがムーンライダーズだ。
彼らの音楽は、派手に主張するタイプではない。けれど、聴き進めるほどに「こんなバンドが日本にいたのか」と静かに驚かされる。

ムーンライダーズは、日本語ロックの歴史と、その先にある自由さを同時に体現してきたバンドだ。

ジャパニーズロックの始まり

1960年代、日本にビートルズをはじめとする海外ロックが入ってきたことで、ロックという音楽は一気に若者文化の中心へと広がっていった。
ただし当時の日本のロックは、英語詞で歌うことが「本格的」だと考えられていた時代でもある。

1970年代に入ると、その価値観に疑問を投げかける動きが出てくる。
「日本語でロックをやってもいいのではないか」
そんな問いに正面から向き合ったバンドたちが現れ、少しずつ日本語ロックの土台が築かれていった。

この流れが、後のJ-POPや現在の日本の音楽シーンへとつながっていく。

1970年代を代表する日本語ロックバンド

日本語ロックを語るうえで、まず名前が挙がるのが はっぴいえんどだ。
細野晴臣、大瀧詠一、松本隆らによる活動は、日本語でロックを歌うことが自然である、という感覚を決定づけた。

一方で、同じ時代に活動していた はちみつぱい も重要な存在だ。
はっぴいえんどと同様に日本語詞を用いながら、フォーク、ロック、ジャズなど、より幅広い音楽性を持っていたのが特徴である。

はちみつぱいは、メンバーそれぞれが異なるジャンルを得意としており、その多様性が後のムーンライダーズへと受け継がれていく。

ムーンライダーズの誕生

1970年代前半、はっぴいえんどとはちみつぱいはそれぞれ解散する。
その後、はちみつぱいのメンバーを中心に結成されたのがムーンライダーズだ。

鈴木慶一、岡田徹、武川雅寛、かしぶち哲郎、椎名和夫、そして当時ソロ活動をしていた鈴木博文。
この6人でムーンライダーズはスタートした。

初期のムーンライダーズは、それまでの流れとは少し違い、「音楽で食べていく」という現実的な目標をはっきりと掲げていた。
実験性だけでなく、ポップさや実用性も意識した姿勢が、その後の長い活動につながっていく。

現在も活動を続けており、結成から約50年。
ここまで息の長い活動を続けている日本のロックバンドは、決して多くない。

ムーンライダーズがすごい理由

ムーンライダーズを語るとき、どうしても一言では収まりきらない。
長く活動を続けてきたからすごい、というだけではないし、実験的だから面白い、という言葉でも足りない。

彼らの音楽には、時代ごとの流行やジャンルを越えて一貫して感じられる姿勢がある。
その積み重ねが、ムーンライダーズを「少し特別な存在」にしているのだと思う。

多様な楽器が当たり前のように鳴る

ムーンライダーズの音楽を聴いてまず感じるのは、音の情報量の多さだ。
ギターやベース、ドラムといったロックの基本編成にとどまらず、ヴァイオリン、トランペット、マンドリンなどが自然に溶け込んでいる。

1975年のデビュー当時から、こうした編成を行っていた点は特筆すべきだろう。
ライブでは、1曲の中で楽器を持ち替えて演奏する場面もある。

技術の進化を味方につける

ーンライダーズは、新しい技術を恐れなかった。
サンプラーや電子楽器など、登場したばかりの機材を積極的に楽曲制作へ取り入れていく。

その結果、従来の楽器だけでは表現できなかった質感やリズムが生まれた。
「打ち込み」という言葉を最初に使ったのが岡田徹だと言われているのも、この姿勢を象徴している。

メンバー全員がクリエイター

ムーンライダーズのもう一つの大きな特徴は、メンバー全員が多才であることだ。
演奏できる楽器が多いだけでなく、作詞・作曲・アレンジ・プロデュースまで手がけることができる。

全員が曲を書けるバンドは意外と少ない。
そのため、アルバムごとに色合いが変わり、聴くたびに新しい発見がある。

ジャンルを越えた「ムーンライダーズらしさ」

ニューウェーブ、テクノ、プログレ、ジャズ、シャンソン、フォーク。
ムーンライダーズの音楽には、さまざまなジャンルの要素が混ざり合っている。

それでも、不思議と散らかった印象はない。
どの時代、どの曲にも共通して漂う「ムーンライダーズらしさ」が、全体をひとつにつないでいる。

今聴いても色褪せない歌詞の世界

ムーンライダーズの歌詞は、時代性を強く感じさせない。
数十年前に書かれた言葉であっても、今の生活や感情にすっと入り込んでくる。

直接的な表現でありながら、意味を限定しすぎない。
その余白が、聴き手それぞれの人生と重なっていく。

まずは一曲、気になったものから

ムーンライダーズを聴くのに、予備知識は必要ない。
まずはリンクの中から、タイトルが気になった曲を一つ再生してみてほしい。

聴き終えたあと、少しだけ景色の見え方が変わっていたら、それで十分だ。
そうやって長く付き合っていける音楽が、ムーンライダーズなのだと思う。

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