【道路紹介】旧国道186号線およびその廃道区間

瑞井ツーリング日記
この記事は約4分で読めます。

島根県江津市を起点とし、広島県大竹市へと繋がる国道186号線。
今回はその186号線の旧道区間・廃道区間を紹介する。

当該の区間があるのは広島県安芸太田町加計である。
黒部ダムに続き日本で2番目の高さを誇る温井ダムの下流にあるこの交差点の上側、現国道186号線と平行に走っているのが旧国道186号線だ。

旧道区間

旧道はしばらく現道と並走しているが、現道が山側の斜面にの高い位置に斜面を削ったり橋などを通して通っているのに対し、旧道は川に沿うように低い位置を走っている。

写真中央の道が旧道、左側で上に登っていく道が現道。右にあるのはダム関連の施設。

このまま旧道を進んでいくと、やがてダム湖の壁に突き当たり道は消失する。

が、今回は先の写真を撮影した時点で何らかの生物の視線を感じたり、探索の4日前に付近で熊の出没情報が出ていたことを考慮し先に進むことをやめた。
この数分後に移動中に野生の猿が出没したので、これは英断だったと思いたい。猿に襲われると一般人なんて100%負けるのでね…

廃道区間

地理院地図より引用

上記は2023年10月現在の最新の地理院地図の航空写真である。

わかりやすく現国道に色を付けたものがこちら。

地理院地図より加工して引用

変わってこちらはダム建設前、1974年~1978年頃の航空写真だ。

地理院地図より引用

こちらも旧道区間(当時の国道186号線)に色を付けたのが下の画像である。

地理院地図より加工して引用

そして下が現道・旧道の航空写真の差分になる。

地理院地図より加工して引用

道の大半がダム湖の中に消失していることが分かる。
そして、道路とともに集落が1つ消滅していることも分かるだろう。
この集落一帯を温井地区というらしく、参考サイトによると合計27戸の家が水没したとのことだ。
なお、本記事では”ダム建設の反対派”だとか、”水没による住居の移転”などの是非については取り上げないので悪しからず。ただ事実として27戸が水没したということだけに留めておく。

さて、この水没した道路はどうなっているのかだが、航空写真から状況を察するにアスファルト舗装を剥がしたりはせず、そのまま水没しているようである。

この水没地点への道は、手前のキャンプ場付近で封鎖されているので、立ち入りはできません。

謎の道

現道を北上していくと、途中で分岐がある。

行き止まりの表記があり、ゲートで閉鎖されている。

この道、国土地理院の過去の航空写真には撮影されておらず、いつ頃できたものなのか、何のための道なのか不明である。

消えかかってはいるが、黄色のセンターラインがあったりガードレールにリフレクター(反射板)がついていたり高規格に見える。

そして、通行者への愛が凄い!!

こんなにもカーブのアピールをしている道もなかなか無いだろう。

それもそのはず。ここのカーブ、なかなかにキツイのである。

そしてこの道もダム湖に水没している。

つまりは、ダム湖に貯水が始まる前にこの道は存在している。
Wikipediaによると1998年から2001年の間に試験的な貯水を行っている。そして、先程の1974年~1978年頃の航空写真には映っていない。
このことから、この道は少なくとも1978年~1998年に建設された道である。
1991年からダム建設が始まったようなので、この道はダムの建設用道路、もしくはこの下にあった集落と現道の接続路ではないかと思われる。

他のブロガーの方によると、温井ダムの工事用道路は”温井ダム天端道路”という名称だそうだが、参考にしたブログにあった地図にはこの道は記載されていないので、この道が何なのかは分からない。

下の画像は温井ダム天端道路の入り口であるが、謎の道とは明らかに規格が違う。

2023年12月13日追記
この道がなんの目的で作られたものなのか判明。
どうやら、この道はこの真下に存在した集落への道のようだ。

ダム建設において遮水壁(ダム湖の水を堰き止めている壁の部分)は最初に建造するものであり、温井ダムも同様であった。

そうなると、遮水壁の中を通過することになる道路は封鎖を余儀なくされてしまう。

町の方へ出るには遮水壁の方角へ向かう必要があるが、通れないため数キロほど上流の方へ行きそこから新国道へ入りUターン…なんていう遠回りをする必要がある。

そこで、集落のすぐ近くから新国道へ接続できる生活道路として作られたようだ。

たしかにそう考えると、

  • 青看板に今も記載されていること
  • 二車線であること
  • 黄色看板が親切すぎること

にも納得がいく。

というわけで、今回の記事は以上になります。みなさんも身近なダム湖の歴史について調べてみてはいかがでしょうか?
その土地の歴史や、道路の歴史など様々なことが分かって面白いと思います。調べてもわからないことは各ダムのウェブサイトから問い合わせたら分かることがあるので参考になれば幸いです。それでは。

コメント

タイトルとURLをコピーしました